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1人目のお客様。
チリンチリン。
可愛い小さなドアベルがなった。
「いらっしゃいませ。」
爽やかな男の声。
私は知らないうちに、気がついたらここの店のドアを押していた。
確か……この店の名前は……。
『願いを叶える店』だった気がする。
願いを叶えるなんて嘘に決まってる。
「あ、間違えました。失礼します。」
さっさと帰ろう。
「お客様?お忘れものです。」
「え?」
私はなにか忘れ物をしただろうか?
「なにを?」
「願いをお忘れです。」
「そんなもの、最初からありません。」
私はきっぱりといい放つ。
でも男の人は全く驚きもせず、逆に落ち着いていた。
「いいえ。お忘れです。あなたからは願いの臭いがプンプンします。」
「は?」
私は訳が分からなかった。
ふざけてるの?
私をなめてる?
私が帰ろうとドアに触れると、また男は喋りだした。
「お聞かせください。あなたの願いはなんですか?」
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