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不思議な子に出会った。
山の中、桜の咲く中甚平を着て狐の面を着けた男の子。
ボクと同じくらいかな、六歳くらいだと思う。
ボクは春休みにおばぁちゃんの家に来たんだ。
でもやる事がなくて、テレビもいつも見てるものがみれなくて、玄関の近くでぼーっとしてたんだ。
そしたら、門の向こうからのぞき込んで、ボクに手招きをしたんだ。
ボクは暇だったし、その子と遊ぼうと思った。
走っていくと、半袖の甚平だから寒くないのかなって思ってきいてみた。
「このくらいじゃ寒くないから」
ボクは長袖にチョッキを着ててもまだ寒いのに、この子は強いんだね。
ボクらは坂をかけ降りて桜の木の横を通り、山の中に入っていった。
山の中は桜でいっぱいで、桃色の雲の中にいるみたいだった。
「そんな履き物じゃダメだ」
その子はボクに下駄をくれた。
下駄なんて履いた事ないから歩きにくかったけど、ボクは素直に下駄にはきかえた。
「さぁ、くるぞ!」
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