狐面の子

3/7

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 ふわっと背中を突風に押される。  横を見るとあの子はすごく高いところまで飛び上がっていた。  ボクの体も少しだけど浮き上がっていて、この下駄はきっと空を飛べる下駄なんだ。 「どうしてそんなに高く飛べるの?」 「そんなの、風を捕まえれば良いだけさ」  あの子はふわふわと風に乗り、楽しそうに飛んでいる。  ボクは次の風を待って、思い切って飛び乗ってみた。  ふわりと桜の花びらと一緒に高く飛び上がり、桃色の雲を遥か真下に眺めながら自由に風に乗った。  男の子とはぶつかり合い、押しあったりして、ずっと遠くまで見渡せる山々を見ていた。  緑や桃色、時々車が走ってて、いろんな鳥が飛んでいて。  大きな湖が見えた。  湖はきらきらと光を反射して、きっといろんな魚や生き物がいるんだろうな。 「今度会ったら見に行こう」 「また遊ぼうね」  ボクらは約束して、友達になった。  そして、不思議な春休みは終わった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加