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秋、連休を利用して遊びに来る。
今度はボク一人で来たんだ。
あの子にそう言ったら、えらいねって言ってもらえた。
男の子はやっぱり甚平に狐面で、今日は山の中に入っていった。
真っ赤に色づいた枝にぴょんと飛び乗り、枝から枝へ飛び移っていく。
「怖くないの?」
「枝に飛び移るんじゃない。枝が僕の足下にくるんだ」
ボクも木に登り、隣の木へと飛んでみる。
すると木の枝がくるっとボクの足下へやってきた。
ボクらは真っ赤な葉っぱの中を、ぴょんぴょん飛び移りながら追いかけっこをした。
やがてボクらは大きな木の枝に落ち着き、赤や黄色に色づいた山を見ていた。
「君はどこに住んでるの?」
「僕は山にいる。山がある限り、僕もあり続ける」
ボクにはよく分からなかったけど、この山がこの子にとってとても大切なものなのは分かった。
「また会えるよね」
「会いたくなったらおいで。山はいつでも此処にある」
ボクはまたこようと思った。
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