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冬休みはお正月に来る。
なかなか外へでられなかったけど、やっと暇な時間ができて外へ出ることができた。
狐面の子は半纏を着ただけで、やっぱり甚平のままだった。
「山の中はいろんなものがあるんだ」
「どんなものがあるの?」
「例えば…宝石とか」
そう言うと男の子は、足下にあった岩を強く蹴りあげた。
岩はがこんと音を立てて割れ、中から紫色の宝石が出てきた。
男の子は次々に岩を割っていく。
赤や緑の綺麗な石が、普通の石の中にちょこんと顔をのぞかせている。
「これを綺麗に磨いたら、大人がほしがる宝石になるんだよ」
「このままでも全然綺麗じゃないか」
男の子は岩の中から赤い石を取り出し、ボクの手の中においた。
「いつか来れなくなっても、僕のこと忘れないでね」
「絶対忘れないから、絶対」
男の子は少し寂しそうに笑った。
夕焼け近づく頃、ボクは男の子に手を引かれ、おばぁちゃんの家に帰ってきた。
山に帰っていく男の子は寂しそうだった。
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