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それからも何度もあの子と遊んだけど、だんだん遊びに行けなくなってきた。
受験とか、バイトとか、仕事とか。
大人になるにつれ山が遠くなっていく、あの子との距離が開いていく。
それでもボクは、あの日あの子からもらった赤い石だけは大事に持ち続けている。
磨かず、原石のままの石をいつも机において、あの日のあの出来事は本当にあった事と証明し続けている。
空を飛んだり、水の上を歩いたり、あり得ないことばかりだったけど、しっかりとこうやって証拠が残っているんだ。
今でもあの子が何だったのかは分からない。
あの子はずっと子供のまま、ボクはどんどん成長し、大人になっていく。
それでも不思議とは思わない。
あんな不思議なことができるのだから、あの子が人間じゃなくてもおかしい話じゃないんだから。
今でもボクの大事な友達のまま、ボクの記憶の中で不思議な遊びを続けているんだ。
いつかまた、必ず会いに行くからね。
―終―
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