3人が本棚に入れています
本棚に追加
カバだ。
左の後ろ足をピンと伸ばし両の前足を華麗に舞わせた、沢山のフリルのスカートをはいたカバだ。
それが小さな池の真ん中に立っている。
唖然とそれを眺めていると、像の陰から同じポーズを取ったカバが、ちょこちょこと足を動かして出てきた。
「二足歩行の、カバ…」
「校長とお呼びなさい」
校長だと名乗るカバはどれだけ眺めてもカバ、しかし石像があるのだから学校の関係…者なのだろう。
「逃がすわけにはいかないわ。あなたは死を知るものですもの」
「残念だが、ここで死ぬ気はない」
カバはくるくると舞いながら近付いてくる。
さっと走り出し、校舎に入ってまいてやろうと思ったが、カバはその見た目に反して俊敏に反応し、直ぐ後ろを追いかけ走ってくる。
こうなったら屋上から落としてやろうと階段を探す、しかし階段はどれも下りしかなく、しかもどれだけ下っても階層が変わらないのだ。
カバはまだ後ろを走っている。
仕方なく、窓から外へとでた。
最初のコメントを投稿しよう!