Chapter1

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 ミーン、ミーン  今日も朝から夏の暑さを思い出させるように蝉が求愛のサインを撒き散らしていた。  9月になったと言うのに肌から吹き出る汗はとどまることを知らない。 「はぁ……、あんたらはそんなに愛が欲しいわけ?」  いつも通り起きて、洗面所で顔を洗いながらそんな独り言を口にしていた。  蝉が私の質問に答えてくれるはずがないのに、そんなことを口に出してしまうことがちょぴり恥ずかしかった。
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