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「伊吹」
次の日
泰雅はまた伊吹の元へ訪れていた
そして
またたくさんのことを話すはずだったが……
「……誰…ですか?」
「え……」
伊吹の中から泰雅の記憶は無くなっていた
「………」
しばらくの間、泰雅は黙っていたが
笑顔を作り
「んだよ、友達じゃねぇか」
そう答えた
「……そうなんですか…」
伊吹は申し訳なさそうに言う
「ごめんなさい……私、病気が……」
「わかってるから」
「えっ?」
伊吹は泰雅の言葉に少し驚き顔を上げた
「病気、記憶なくしちゃう病気なんだろ?」
コクリ
伊吹は無言で頷いた
「記憶なくなる前に、お前が俺に言ってきたんだぞ?」
泰雅は何事もないかのように振る舞う
哀しみを隠しながら……
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