5人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわぁぁあ!!」
鼓膜を破る様な悲鳴が聞こえた。
五月蝿い……。今度は何だ?
少しイラつきながらまた振り向いて見ると、鉄の球が人間の形に巨大化していた。
髪は無く、目や鼻、口の形のみがうっすらと掘られている。
どういうことだ?
動き出す鉄の玉は、この現実世界に在ってはならない。
それは、小説や漫画内だけの話だろ。
ギリギリと音を立てながら、ソイツはぎこちない動きで俺へと歩いて来た。
何なんだよ……何なんだよ、コイツ!?
現れる感情は至って普通。恐怖だ。
「ガ、ビジュグ、ジジソ。ガ、ビジュグ、セジゲポゾ」
何か言っている?
いや、何処かで聞いた?
とりあえず、逃げないと……。
怖がり、不思議に思いながらもそう判断でき、すぐに廊下に逃げ出す。
突然現れた化物と戦う様な、小説的な展開は絶対有り得ない。
「ゴラゲン、ジョブドグパ、リントグ、ギビスボドゾ、ジジャラグス」
鉄人間が叫ぶと同時に、その動きは速くなり、俺の首を右手で掴んだ。
ひんやりとした硬いその手は、まさに鉄。
最初のコメントを投稿しよう!