プロローグ

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 人生に“山”や“谷”という物があるのは知っていた。  実際、俺はそれを14年間歩んで来たのだから。  “まさか”という物があることは、有名な言葉で聞いた。  それでまさかを知った気になっている人間は多いハズだ。  でも、まさかは自分に起こって初めて分かる。  山が来た時は激しく喜び、谷が来た時は激しく悲しむ。  まさかが来た時の反応は、失神してしまう程らしい。  そして、それはその後の運命を狂わせることになる。  ……いや、それ自体が運命だったのか?  運命……あまり好きな言葉ではない。  格好良い風に言う訳ではないが、誰かに決められた選択しかできていないのは嫌なんだ。  “運命の出会い”というのもそれと等しい。  必然的にではなく、自分たちの力で巡り合ったと感じたい。  だからこそ……俺たちの出会い。  これは運命ではないのかも知れないな。  心の奥底で、この瞬間が来るのを待ち望んでいた様な気がする。  ……思い違いなら良いんだが。  まあ、運命だろうとそうでなかろうと関係ない。  どうせ、言葉遊びに過ぎない……だろ?  お前が俺を殺したくても、俺はその理由が解らない。  だからこそ── 「絶対に殺されるもんか。           雨沢 雲!」
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