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今、私の目の前で荼毘に伏されようとしている父はもう話すことはない。
認知症の父に何故あの瞬間だけ正気が戻ったのか
本当にあの玉子焼きが母の味を再現できていたのか
疑問はフワフワと父の棺の上を行ったり来たりしながら浮かんでは消える。
しかし、もうそんなことはどうでもいい。
父が迷わず神の様に慕っていた母のもとに辿り着けるように・・・
私はそれだけを願い
父の菩提に手を合わせた。
了
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