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高校を卒業する頃には、小皿の上で外気に晒され続ける黄色い欠片を見ても
もう何も思わなくなっていた。
私の心は成長し太くなり、いつの間にか父が残した玉子焼きを見ても落ち込む事はなくなっていた
短大に入学し、アルバイトをしたり、友達と出掛けたりで
私が、家で食事を作る機会自体が少なくなっていく。
そうなっても父は、私を叱りつける事もなく、特に何も言おうとしない。
青春を謳歌する娘を、父はただ静かに見守る。
やがて私は、何時の間にか父が玉子焼きを残していた事も──
父の中で母が、“神様”のような存在になっていた事もすっかり忘れてしまっていた。
そんな事は、もう何年も思い出す事さえなかった。
時間は、年を重ねるごとに加速した様に過ぎ去っていく──
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