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五つの銃弾が女性の命を刈り取ろうとする。
が、刈り取る寸前に銃弾が停止し、地面に転がる。
「なっ……。てめぇ、魔術師だったのかよ。いや、その辺も配慮するべきだったか……クソが」
男が目を見開き、初めて驚愕に満ちた顔をした。
そして、苦苦しい表情になり地面に唾を吐き出す。
「凄いだろ? 驚いたろ? これで、てめぇらに勝ち目はねぇな!」
「………野郎共、撤退するぞ」
「隊長、しかし!…… はっ、畏まりました」
部下の一人である女性が困惑した顔で男の顔を見た瞬間、一瞬眼を瞑り一礼した。
「すまねぇな……」
男は踵を返し、この場から去ろうとするが数歩歩いたところで止まり、振り返る。
「……なんだよ?」
「………てめぇに訊きてぇことがある」
「……?」
赤髪の女性は怪訝な表情になり首を傾げる。
「なんでこの廃墟に辿り着けた? この場所にはいくつもの魔術式が制御しているはずだ。探知に闌けている魔術師ですら、容易ではねぇ筈だ。……てめぇはではないだろ?」
「あぁ……それはあいつのおかげだ。」
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