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「ええと、38歳よ。それがどうしたの?誕生日はまだ先よ」
母は不思議な顔をしている。
「おれの年は?いくつだっけ?」
なんだこのバカ息子はと言わんばかりの顔だが答えてくれた。
「あんたは16歳になったばかりでしょ。訳のわからないことを言ってないで早く準備しな」
母は怒っているようだったがおかしい。おれは今年で21歳だ。
おれはどうやら5年前に戻ってきてしまったようだ。
秋の寒い朝。おれの身体は震えたままだ。唖然としていると母に無理やりに準備をさせられ追い出されるように家を出た。
家の前に停めてある車の窓ガラスで自分の姿を見る。幼い顔をした少年が学ランを着ている。これは昔の自分だ。写真を見ているようだった。
秋の空は高く雲を伸ばし太陽を遮っている。
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