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見慣れたはずの道を恐る恐る歩いた。なぜ戻ったのか、なぜここにいるのか。全くわからない。 ポケットに忍ばせた携帯がもう一度鳴った。隆二からだ。 「はい。もしもし」 「おい、アキ。今日来ないのか?せっかくゲーム持ってきてやったのに」 「いや、今行くよ」 「遅えよ。まあしたら待ってるぞ」 隆二は言い終えると電話を切った。思い出した。おれはこの会話を覚えている。 おれはすごくやりたかったゲームがあった。それを隆二になんとかお願いして借りる約束を取り付けた。次の日、おれは寝坊してしまった。 その日のことを思い出した。5年前とまったく同じだ。 いや、5年前に戻っているのだから当たり前なのか。 いま起こっている事実が否定出来なくなっていた。あのときと変わりのない5年前におれは来てしまった。
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