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おれはよそよそしく会釈してすぐにその場を去った。
どうしてさくらがここにいるんだ。さくらはちんたら歩いていたはずなのに。
結局運命を変えるのは無理なのか。少し残念な気がした。それから少し安心もした。
おれは懐かしい教室に向かった。扉を開けるといつも思い出の中にある映像がそのままそこにあった。
「おいおい、遅いな。HRもう終わったぞ」
昔に戻ってもイケメンな隆二が説教じみたことを言った。
「アキ、寝坊もほどほどにしろよ」
髭がないせいか、いっそう子供っぽく見える武志がぼやく。
「ほんとに寝坊?具合悪くないの?」
慎太郎だ。慎太郎のまっすぐな目はあの頃のまま。いや、あの頃と同じ。おれを心配している。
おれは笑った。純粋に嬉しかった。もう一度こいつらに会えたことが。慎太郎がここにいることが。
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