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「なに笑ってんのよ」 武志は疑問に思ったことはすぐに口にする。 「いやなんでもない」 おれは空いてる席に戻った。 なに一つ変わらない教室でおれだけがこの教室を眺めていた。 落書きだらけの机、やけに綺麗な黒板、窓からの風に揺れるカーテン。 がやがやとうるさいクラスの声を黙って聞いていた。こんなことに喜びを感じるなんてどうかしてるのだろうか。 これからの毎日を想うとにやけてしまう。隆二はそれにすかさずツッコミを入れていた。 そして武志が茶々を入れ、慎太郎が心配をする。 なんてことはない、これが毎日だ。おれはもう一度笑った。
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