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空教室に入るとすでに何人か席についていた。 ちょうど一番奥の角の席に由紀は座っていた。 教壇の前に立つ偉そうな学ランの男がクラスごとに座れと命令してきたが言われなくてもそうする。 由紀の隣に座るとさっそく話しかけてみた。 「なんでこんな端に座ってんの?」 由紀は同じクラスだったがたいして話したことはなかった。 そもそも由紀が目立ち始めてからも、同じクラスだったと気付いたのはずいぶん後になってからだった。 こんな端の隅に座るような子なんだから当然と言えば当然だとも思う。 「え?」 由紀は話しかけられたことに驚いたのか言葉を失っていた。 「おれも一応美化委員だからよろしく」 間を詰めるように言った。
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