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それからというもの、おれはことある度由紀との接触を試みた。
あるときは昼食に誘ったり、あるときは数学の宿題を聞いたり。
糸が切れてバラバラになってしまった真珠のネックレスを一つ一つ拾い集めるように一生懸命青春を探した。何年も置き去りにされたままだったバラバラの真珠。
おれはもう一度紡ぎ合わせたかった。
由紀も次第に心を開いてくれているようだった。
罪を犯したような陰気な心もまだどこかにあったが、自分は悪くないと言い聞かせた。
今のさくらはおれのことなんて知るよしもない。おれが自由に生きて悲しむ人などどこにもいない。
来週、秋の球技大会という一大イベントがある。おれにとって大切な日だ。さくらと再び会い、想いを繋げていく始まりとなった日だ。
おれはさくらとは会わない道を選ぶことにした。それがおれの新しい人生なんだ。
責める人なんて誰もいない。胸を張っていこう。新しい未来が待っているはずだから。
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