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「いいや、それはお前らだけだなあ。おれは真面目だったからさ」
少し嫌味を込めて言った。実際あの頃のおれは彼女一筋で青春を謳歌してなかった。
いや、本当はそれが青春なのかもしれない。でもおれには、彼女なんか作らずに毎日遊びくれていたこいつらの方がよっぽど“青春”に見えた。
「アキはさくらちゃんにべったりだったもんな。ん?逆かあ」
隆二が軽口を叩いた。
「さらに言えば今もだな、今も」
それに武志が続く。
「まあ、なんだかんだ楽しかったけどさ」
ふてくされたように言って、店員にビールを3つ頼んだ。
「たしかによ、もったいないっちゃ、もったいないな。せっかく自由に生きられる瞬間なのに」
「もう5年は経つよな?付き合ってから」
「そうだなあ、もう少しで5年だ。もう5年も経っちまうよ」
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