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だけど、おれはどこか府に落ちないでいた。このまま終わってしまっていいのだろうか。
生まれてから死ぬまでの間、ただ一人の女性を愛する。そのために生きる人生でいいのだろうか。
違う。本当はもっといろんな生き方をしたいんだ。いろんな人に出会い、いろんな人と恋をして、いろんな風に人生を描きたいんだ。
でも、もう遅い。出会ってしまった。赤い糸で結ばれた人に。だから、もう運命に従うしかないんだろう。
おれはこんな様変わりなジレンマを抱いていた。幸せだから不幸せを願う傲慢な少年のように。
「でもやっぱ懐かしいな。高校一年の頃だなあ、付き合ったの」
少し沈黙があってから口を開いた。
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