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「冬頃だよな、たしか」 隆二は顔を真っ赤にさせて言った。酒が弱い。 「そうだ、ちょうどおれが骨折してたときだな」 武志が思い出して手を叩いた。 「ジャングルジムに登ってさ、ぎゃあぎゃあ騒いで落ちてやんのな」 「落ちたときの武志の顔よ、どや顔で笑ったわ」 「そんでさ『入った?うわ完全に入ったわ』とか言ってんの」 「あれなんだったの?」 「それはひびが入っただろうなあってことよ」 「いや、折れてたんだろ?」 「まあな」 「馬鹿ものだな」 くだらない思出話に花が咲く。こじんまりした居酒屋は笑いで包まれていた。
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