僕のママ

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外に出たぼくを迎えたのは身も凍るような強い北風だった。 思わず空を見上げると星ひとつ見えない濁った暗闇が見えた。 「……さむっ…」 ブルッと震えてからひどく冷えた手をコートのポケットに突っ込み早足で駅へと向かった。 ここは都心のど真ん中。 僕は毎回学校が終わったあとここの進学塾に夜遅くまで勉強しに来ている。 再来年の中学受験に向けて。 本当はこんなとこサボって友達とWiiとかマリカーとかで遊びたい。 ママは僕の将来のためとか言ってるけど、今は将来なんてそんなことどうだっていいんだ… ふと足元をみる。 「あ」 靴紐がほどけていた。 めんどくさいなと思いながらも屈んでヨレヨレになった靴紐を結び直す。 くたびれたスニーカー。 いつかママが買ってくれたんだっけ。 もうキャラクターものは似合わないだろうからって一緒に選んだやつ。 その時から僕はずっとこの靴を履いている。 ママはみっともないからそんなのさっさと捨ててこっちを履きなさいって、ブランドのエナメルの靴を買ってきたけど 僕は好きこのんでこの汚い靴を履いている。 だってこれだけがあの時のママと僕を繋いでいるものだから。 あの優しかった時のママと。 .
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