僕のママ

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「今日のごはんは何にしよう…」 僕の夕飯は仕事帰りがいつも遅い母のために、塾に行く前に渡される小遣い内で自分で済ませることになっている。 初めのうちは外食放題の毎日は満更でもなかった。 もちろん自分の好きなものだけが食べられるというのもあったし、 多分その時の僕は外食という響きに特別なものを感じていたんだと思う。 だけど通いなれるうちにその喜びは薄れていき、 その代わりに段々と寂しさのようなものを感じるようになっていった。 今は外食の脂っこいハンバーグやポテトよりも、昔の僕や同じクラスの皆みたいに、また、「かていりょうり」を食べたいとは思ってる。 でもママは僕の塾の費用のために夜遅くまで働いてくれてるんだから、 そんな我が儘は、言えない。 だけどそれとはまた違った寂しさだってあるよ。 「はぁ…」 ママはこんな深夜に小学生の僕を出歩かせたりなんかして平気なんだろうか……こんな物騒な世の中に。 それとも頭のいい中学へ入るにはそのくらいの危険はしょうがないの…? 僕は先の見えない自分の将来のために、勉強漬けになるよりも、 昔みたいにママと一緒に1日1日を過ごしたいんだ。 ねぇ…なんで気付いてくれないの? …ママ……なんで………? 疑問は後から湧いてつきなかったけど、 悲しくなるだけだったから考えるのはやめた。 .
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