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トントン
「・・・・ん?」
寝転がっていると、襖を叩く音が聞こえ、体を起こし開けると早苗が立っていた。
「少し早いですけど、夕飯にしますので来てください」
「了解」
確かに外の景色を見る限りまだ夕飯には早い時間だが、さっきの能力について試行錯誤したせいか腹ぺこだったから助かる。
「今日は、楽しんで下さいね」
「・ ・ ・何を?」
「秘密です」
皆が集まるリビングに向かう途中、早苗はこう言った。 食事に何を楽しむんだ? そういえば、昼間神奈子様と早苗が夕飯について話してたな。 その事かな?
「お、今夜の主役が来たねぇ」
「早くぱーっと盛り上がろうよ!」
リビングに着くや否や肉の丸焼きや豪華な寿司が視界に飛び込み、神奈子様と諏訪子に歓迎された。
主役? 俺今日誕生日でも無いし、この豪華な料理の品々はいったい・・・・?
「ささ、主役は早く席について下さい」
早苗に急かされ、三人とは明らかに違う少し高級感がある座布団の上に座らされた。 一体これから何が起きるんだよ!?
「さぁ神奈子様、諏訪子様、やりますよ!」
早苗が二人に声をかけるとコクリと頷き、テーブルの下にセットされてただろうクラッカーを取り出す。 クラッカーの向きは全員俺に向いている。
そして、三人はすっと息を吸い、
「「「夢叶 新一(さん)ようこそ幻想郷へ!!」」」
「えっ!?」
パーンと一斉にクラッカーが鳴り、中に仕込まれていた紙のリボンが体に絡まる。
これってまさか・・・・
「ふふふ、驚いてますね。 そうですこれは新一さんの歓迎パーティーです!」
「やっぱり、新参者は気持ちよく歓迎しないとね」
「これからお世話になるんだ。 よろしく頼むよ、新一」
早苗、諏訪子、神奈子様が言う。 親は物心ついた時にはいなかったからこんな大きなパーティーは初めてだ。 もしかしたら、本当の家族がいてもここまで自分の為にしてくれる事は無いかもしれない。 そう思うと何か込み上げるものがある。
「皆、俺の為にありがとう! そしてこれからお世話になります! よろしくお願いします!」
多分、ここ数年間・・・・もしかしたら今までの中で最高の笑顔を見せたに違いない。
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