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「すいませーん、これだけ下さい」
「・・・・随分買うんだね」
「私服がこれ一着しか無いですから」
霖之助さんにそう言うと納得した顔で大雑把に数え始めた。
訂正。 殆ど数えてねぇ。 適当に衣服の山を捲ってるだけだ。 因みに早苗はまだ衣服の大山を漁ってる。
「ん~、5000円でいいよ」
「マジすか・・・・。 これ50着以上ありますよ」
驚愕の値段に驚きを越えて唖然する俺。 安くて損は無いのだが、あとでやっぱ値段上げるとか言われても面倒な為、予め忠告しておいた。
これ3万とっても可笑しくないはずだ。
だが、霖之助さんは大して考える様子も無くこう言った。
「店主の僕が決めたんだ。 5000円でいいよ」
「・・・・・・了解です」
俺は懐から給料袋を取り出し、5000円札を出した。
霖之助さんはまいどありと言って受け取り、衣服の小山を大きい布で包み初めてくれた。
サービスといい、さっきのセリフといい、かっこよすぎるぞこの店主。
「はい、少し重いけど大丈夫かな?」
霖之助さんは包み終わった袋を目の前の棚に置いた。
「そのセリフなら早苗に言うべきだと思う」
そう言いながら早苗の方を見る。
さっき見た時よりも衣服の小山が一回り以上でかくなっている。
それを見た霖之助さんは、はははっ・・・・と苦笑いしていた。
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