幻想入り

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あと、必要なのは運。 相手が暴力に出た時、喧嘩もろくにしない草食系男子の俺では傘を持ったくらいで全く歯がたたないだろう。 だが、俺には生まれつきの強運がある。 こいつを信じるしか無い。 「よし・・・・行くか」 靴を脱ぎ、ゆっくりと音をたてずに歩く。 そして1つ1つ部屋を用心深く確認していくが誰も何も無い。 あれ? 俺の勘違いか? と思うと拍子抜けしてしまい手に持った傘を手放した。 「こんにちは、新一君」 その瞬間、今まで感じなかった気配を背後から急に感じ、全力で振り向きながら距離をとる。 俺の背後にいたのは1人の女性だった。 髪は長く、金髪。 そして紫が主張のまるでマンガの世界のようなドレスのような服。 一見ただの痛いコスプレイヤーに見えるなら可愛いものだ。 こいつはヤバいと、俺の頭に必死に呼び掛けてる自分がいる。 相手は武器も持ってない無防備な状態にも関わらず全身から嫌な汗がとまらない。 傘はやろうと思えば手に届く場所にあるが、構えるのが馬鹿馬鹿しく思えてくる。 こいつ相手じゃ傘が糸屑同然にしか感じない。 取り敢えず何かこの場を乗りきる行動に移らなければと思い、考え始めた瞬間、女性から先に動き始めた。 「こんにちは・・・・うーん、正確にはこんばんはかしら? まぁそんな事はどうでも言いわ。 今回は新一君に2つの選択肢を選んでもらうだけだから」 女性はこちらの態度には殆ど関心が無いらしく、非常にマイペースな口調だ。 そんな事より2つの選択肢を選ぶ? それにこいつは初対面なのに俺の名前を知っている。 もう気味が悪すぎて怖い。 夢であってほしいと思いたい。 こいつは俺に何をさせる気なんだ!?
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