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固まってしまい、身動き一つ取れないでいる少年を前に、その魔物はただ眺めるばかり。
それに敵意は無かったが、しかしおののく少年にはそれすら理解する余裕が無い。
「----ッ!?」
恐怖に堪えきれず、彼は叫び声を上げてしまう。
子供特有の金切り声は鋭く森に響き渡り、それに驚いた魔物はまるで我が身を守ろうとするかのように少年に襲いかかろうとした。
それを知覚した彼は、やはり動けない。瞳から大粒の涙を零しながら、ただ彫刻のように立ち尽くすだけだった。
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