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その根っこにあるのは“しう姉ちゃん”との比較。昔から4つ違いのお姉ちゃんは何でも器用にこなして愛想も良く、更には美しい容姿も兼ね備えていて誰にでも好かれた。 でも、私はいつもお姉ちゃんの後ろに隠れて下を向いてジッとしていたから“お姉ちゃんみたいに”と言う言葉にずっと縛られてきた。 お姉ちゃんは持って生まれたものを努力で更に高める努力家でもあったから私はお姉ちゃんには尊敬の念しかないけれど、やはりどこかでコンプレックスもあるのだと思う。 お姉ちゃんはそんな私を猫可愛がりして、素材は私よりも良いんだからもっと磨きなさいと言う。それでも、元々の性格もあるから私はこれで良いんだとずっと頑なに通して来たのだけれど。 「やっぱり20歳という区切りで自分磨きをしてみようかな。」 大学生活を迎えてからはもう少し自分の意見を主張出来て、人見知りの性格を直そうと思うようになっていた。
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