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「えええ、カットの練習じゃないじゃない!」 しう姉ちゃんに言われた通り、火曜日の20時10分程前に店に到着し、閉店して半分ドアが閉められた入り口からおずおずと入ると鏡越しに気が付いた店長さんがいらっしゃいと艶やかな声で言って振り向いた。 しう姉ちゃんが尊敬してやまない店長さんは30代半ばの大人の色気たっぷりな人で、私も何度か会っているけれどもいつも素敵な髪型をしてスレンダーな体に流行りのファッションを着こなし同性から見ても憧れの存在だ。 「一番奥に居るわよ。」 店の一番奥にしう姉ちゃんが立っていて、誰かと話し込んでいるのが見える。 「ありがとうございます。」 「こちらこそありがとう、モデルを受けてくれて。」 「え?」
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