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……… 「本当に…凄いね。」 しう姉ちゃんの同級生、岬さんは感心した様子で私の出来栄えを鏡越しに眺めて呟く。 「うっふっふ、でしょでしょ?素材は超一流、そしてスタイリストの腕も超一流。」 「自分で言いなさんな。」 ふざけた口調のお姉ちゃんに岬さんの素早い突っ込みが入り、遠くで店長さんのクスクスと笑う声が聞こえて私は恥ずかしくて体を縮こめる。 本格的な化粧は初めてで、髪型もこんな凝ったものは初めてで、そして衣装も滅多に着た事のないよそいきのワンピース。初めてづくしのオンパレードの私は、ピアノの発表会以来の緊張に消えてしまいたい。 「何て顔してるの!」 泣きそうな表情の私にしう姉ちゃんは笑いながら肩を揉む。
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