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放っておくといつまででも続くお喋りを慌てて遮って私は本題に入る。 まだ話足りないのか物足りなさそうな表情をしたしう姉ちゃんは隣に立つ岬さんに視線を向ける。岬さんは満足げな笑顔を浮かべたまま後からやって来たカメラを携えたスタッフを呼んだ。 簡易に作った店の奥の白い壁際に立たされて花束を持たされた私は緊張で表情の乏しい顔をカメラに向ける。 何とかしう姉ちゃんの軽口に合せて表情を綻ばせた私のそのタイミングを絶妙に捉えてシャッターを押すカメラマンが終了の合図を出した頃には私は精神的な疲労にフラフラだった。 椅子に座り込む私を尻目に3人と店長は直ぐにデータを取り込んだパソコンの画面を覗き込んで話し出す。 その真剣な様子を見ながら、私なんかで本当に大丈夫だったのだろうかと心配になる。
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