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しう姉ちゃんは困った顔で溜息を吐く。
「でもね、あれは止めた方が良い。」
突然の言葉に私は思わずしう姉ちゃんの顔を見つめた。
「クラブに来るような男は軽いから。ミウなんて遊ばれてお仕舞いよ。」
難しい顔をして私を見るしう姉ちゃんに呆然とする。まだ一目惚れかどうかも分からない状態で、既に失恋。話の展開の早さについて行けない。
「私はただ、彼の踊りが凄く綺麗で目が離せなくてずっと見ていたいって思っただけだから。」
「だったら良いけど。」
しう姉ちゃんはそれ以上私に釘を刺すことはしなかったけれど、私の中で膨らみかけた何かはそのまま呆気なくはじけ飛んで、そして胸の奥に沈殿してジクジクと痛んだ。
確かに、しう姉ちゃんと言う通りだ。あの時は化粧と服装で誤魔化せたけれど、それも一瞬だけだ。キスされて吃驚して逃げ帰るような自分が相手にされる訳がない。
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