夢から醒めたら

1.

しう姉ちゃんと一緒に住みだして一週間。

大学がまだ春休み中の私は昼間は本屋のバイト、夜はしう姉ちゃんの代わりに夕飯を作る。あまった時間で荷物を片付けながら趣味の読書に勤しむ。

元々、出不精で部屋の中に籠るのが大好きな私はしう姉ちゃんの新築のマンションの２ＬＤＫに居るだけで満足だから、折角マンションの周辺にあるお洒落な雑貨屋やカフェが連なるスポットにも未だ行った事がない。

しう姉ちゃんの次の休みの日に一緒に連れて行ってくれるようだが、どうせならショッピングセンターに連れて行ってくれて本屋で買った小説片手にフードコートでご飯を食べている方がテンションが上がる私は全然今時の女子大生っぽくない。

可愛いショップやカフェが嫌いな訳ではないが、どうも気後れがしてしまって積極的に行く気は起きない。根っからの引っ込み思案で姉とは正反対の私はどうしても人目の付かない静かな所ばかりに足が向いてしまう。