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「なあ、“運命小説” って知ってるか?」
放課後、ファーストフード店で小腹を見たしていると、高校一年からの友達である西部 聡 (にしべ さとる) が他愛の無い世間話の中で、お得意の都市伝説談話を始めた。
「ああ、確かアレだろ。自分の運命を記す携帯小説だったか?」
この地域の学生の間では真新しく、尚且つ有名な都市伝説だ。このような田圃に囲まれた田舎地方都市の伝説も都市伝説と言っていいのかどうかは定かではないが。
とにかく、何かと言っては何処からともなく聡は都市伝説を仕入れては、それらを伝えて回る相当な都市伝説愛好家だ。
かくいう俺自身も年相応にそういった話題に興味はある為、都市伝説に関して二人で盛り上がるのは最早、日常化している。
「そうそう、それだよ! だけど運命を記すっていうのは未来を示すという事に似て非なるものらしい。
……それに、ちょっといわくつきなんだ、この都市伝説」
「いわくつきって?」
「ああ、雪(ゆき)は覚えてるかな? 一ヶ月くらい前、近くで女子大生の死体が発見された事件があったよな」
「そりゃな。あんな事件、こんな田舎で早々あるものじゃねーしな」
一月ほど前のことだ。この田舎街で身の毛のよだつような事件が起きた。
女子大生の死体が田圃の中で発見されたのだ。
それだけならまだいい。その死体の状況に明らかな異常性があった。
死体はこま切れとなった状態だったらしい。指の一本一本、鼻、耳、目、全てがバラバラだったようだ。
その猟奇性から、一時期はテレビのワイドショーですら取り上げていたが、未だに犯人は不明のままだ。
だからだろう。最近は夜になると人気がさっぱりなくなってしまうのは。
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