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《セインさんはいい子ですね》 「…」 耳元で急に囁かれ、ウルは少し肩を震わした。少し気を抜くとわからなくなるウルに憑いている存在…『魔霊』の『ルチア』の姿がそこにあった。 「いたのか」 「な、何が…ですか?」 「いや、なんでもない」 ウルが誤魔化すとセインは言いにくそうにまた口を開いた。 「あ、あの…へ、変な事言うようなん…ですけど…お、おかしな感じがしませんか…?」 「俺は何も感じないが…」 「わ、私の気のせい…ですね…す、すみません…」 「いや、謝る必要はないさ」 そう言いながらウルはルチアをちらっと見る。 《見えていないだけで完全に私のことわかってますね!》 「…」 ルチアは何故か嬉しそうにそう断言した。 魔霊…いや、そもそも霊を感じ取れるのは限られた人間しかいない。 憑かれた者、生まれた時から見える者、ある出来事をきっかけにして見えるようになった者、環境がそうした者。 ウルは魔霊に憑かれた者『憑霊者』。 そしてセインは環境がそうした者…霊の存在をなんとなく感じ取れるだけで見えているわけではないのだ。
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