一章

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 相手は自らを賞金首……犯罪者だと認めた。 「それは肯定と受けとるぞ……」  そして、一呼吸。 「これより、疾迅の騎士団の名の下に貴様らを捕縛する!」  自らが所属する王国最強の騎士団の名を高らかに叫びながら、勢いよく剣を抜く。  だが、ジオにこの3人を捕らえられる程の力量は存在しない。  そのことをジオは理解している。これはただ、シークを逃がすための時間稼ぎ。 「ほう、疾迅の騎士団か。まだ若いが暇潰しにはなりそうだな」  大剣を持つ男、サーツはむっつりとしていた表情が崩れ、口の端をニヤリと歪める。 「じゃあ、そっちの少年はアタシの相手だねぇ?というわけでピートは――」 「シークは逃げろ!」  ニズが言い終わるのを待たず、シークに向かって叫ぶ。  シークはそれに従おうとはせず、剣を抜こうとする。  だが、ジオはそれを手で止め、小声で話し掛ける。 「魔法の効力で奥はコイツらの後ろに繋がっているはずだ。だから、お前は後ろからコイツらを攻撃してくれ」  適当に言ったことなんだが、上手い言い訳だな。そう思いながらも、顔には出さない。  その理由にシークは納得したのか、鞘に納めたままの剣から手を離しながら振り返る。  そして、暗闇が続く遺跡の奥へと駆け出した。 「行っちゃったねぇ」  シークが逃げても自然体のままで、まったく焦っていないように見える。  いつでも捕まえることができる、そう考えているのだろう。  彼女らにはそう考えるだけの実力がある。  だからこそ、少しでも、1秒でも長く時間を稼がなければならない。 「さて、始めようか。騎士の少年よ」  その声と同時にジオは剣を構え、魔法を詠唱し始めた。 ――――
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