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声を掛けてきた。
逃げ場はない。
戦うしかない。
勝ち目はあるか?
ジオが勝てなかった相手に勝てるわけがない。
どうすればいい、どうすれば……
「おーい、聞こえてないのかい?」
思考の渦に呑まれかけていると、ニズが再び声を掛けてきた。
シークはハッと顔を上げる。
3人の盗賊は律儀にもシークが応答するのを待っていたようだ。
「聞こえてる。先に聞いておきたい。ジオは生きているのか?」
声が震えるかと思っていたがまともに話すことができた。
そして、確信を持ちたかったことについて質問した。
「アタシたちは盗賊だけど、殺人者じゃないさね。殺しはしないよ」
その答えをシークは何となく嘘ではないと感じた。
だから少し安堵し、ほっと溜め息を吐く。
「そんなことより、その箱はなんだい?」
少し緊張した風に問うニズ。何かを恐れているかのようだ。
それを見たシークは納得した。
彼女たちは優しさで待っていたのではなく、この少年が何かしらの武器を手に入れたのではないかと疑い、身構えていたのだ。
「この箱には指輪が入っていた」
自分が嘘を吐いたところですぐにバレるだろうと考え、見たままを言った。
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