一章

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 結界を解いた後、すぐに傷を確認する。  けれど、思っていたほど傷は多くなく、浅かった。  多分、魔法か何かで眠らされたのだろう。  そして、毒であるならば苦しんでいる筈だからその可能性はない。 「んー……解除魔法とか覚えとけばよかったな……」  真面目にどうするべきか、悩み始める。  そして、そのまま20分程経過した。 「ぅ……ん……」  ジオが目を覚ました。  ニズたちは事が済んで、逃げた頃に起きるように計算していたのだろう。  目を覚ましたことに気づくと、すぐさまシークは声を掛けた。 「ジオ、大丈夫か?」 「ん……ああ……っ、アイツらは!?」  意識が覚醒すると同時に思い出したのか、慌てて起き上がるが、傷が痛んだのか顔をしかめた。  シークはジオを支えながら、問いに答える。 「あいつらなら帰ったよ」 「帰った?ってことは何か盗まれたのか……?」  ジオはシークの手を借りながら、ゆっくりと立ち上がる。 「いや、盗まれた物はなかった。まあ、取り敢えず、この話は帰ってからにしよう。今は傷を治した方がいいだろうからさ」  少年は怪我をした少年に肩を貸し、入り口に向かって歩を進めていった。 ――――
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