一章

3/14
前へ
/19ページ
次へ
「あーあ、行っちまったな」  ジオの歩いていく姿を見て、苦笑しながら軽く溜め息を吐く。  そして、後頭部を軽く擦った後、扉を潜り、走って追いかける。 「おい、ジオ!待てよ!」 「あ?何だよ?」  全力で走って追い付いたシークは、すぐに声をかける。  するとジオは立ち止まり、ゆっくりと振り返った。  シークは振り返ったのを確認してから、続きを言う。 「一緒に行こうぜ?」 「先に言っとくがオレは本当に怖くなんかないぞ」  歳上であるというプライドのためか、強がって言い返してしまう。  言ったあとすぐに後悔するが、顔には出さないようにする。 「わかってるよ。でも、1人で行くなら一緒に来た意味ないだろ?」  だが、シークはその返事が来るとわかっていたのか、即座に言い返す。  これは、何を言っても言い返されるパターンだな……。と幼なじみの癖を思い出し、言い返すのを諦める。 「……お前って、たまにオレよりも大人びてる時があるよな」 「そうか?気のせいだろ。それより、早く行こうぜ」  伸びと欠伸をして、ジオの方を横目で見る。 「フッ、そうだな。先に進もう」  褒められても、嬉しがることも照れることもしないシークを見て、軽く笑うと歩き出す。 「ちょっ、何で笑うんだよ」  急に歩きだしたため、慌てて追いかける。 「気にするな。思い出し笑いだよ」 「こんなタイミングで思い出し笑いとか、絶対に嘘だろ!」  2人はからかったり、からかわれたりしながら奥に進んでいった。 ――――
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加