一章

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 外見と比べると遥かに清潔さを見せる内部では、証明はあれどエネルギーの供給源がないため真っ暗だった。 「なあ、ジオ、ここっていつ頃出来た遺跡だと思う?」  二人はジオの火属性魔法を灯りの代わりに使いながら、遺跡の中を歩いている。 「……現在の魔法や科学では作り出せないような物があるところを見ると、多分古代の物だろうな」 「お、ジオもそう思う?だよな、その時代の科学は凄かったらしいし」  若干、暗い声のジオとその声とは対照的な明るく楽しそうな声のシーク。  ジオが周りを確認しながらゆっくり歩いているのに対して、シークは前だけを見てどんどん歩いていく。  慎重派、悪く言えば消極的な者。単純、良く言えば積極的な者。本当に正反対な二人だ。 「……にしても、これだけ歩いて、いつまで経っても一本道ってのは変だよな」  先ほどとはうって変わって、冷静かつ真剣な声でシークは呟いた。  扉を潜り、大体4キロ以上は真っ直ぐ歩いてきただろう。 「ああ、確かにな。これだけ罠もなく一本道なのは、いくらなんでもおかしい」 「……この通路自体に魔法が掛けられてるのか?」  灯りもなしで先頭を歩いていたシークは立ち止まり、ジオのいる方へと振り返る。  シークが止まったのを確認した後、ジオは歩みを止め、火を灯していない手で壁を触り始める。  ジオの言った魔法の属性には、火、水、風、土、雷の基本属性と光と闇の特殊属性、多様な無属性が存在する。 「壁に仕掛けはなさそうだな。探知してみるよ。」  個人が使える魔法の種類は生まれた時に決まる先天性のものと訓練などで得る後天性のものがある。 「大地に宿りし精霊よ、この地の全てを見通す力を貸したまえ   Gnome's caprice “地精霊たちの気まぐれ”」  ジオが現時点で利用できる属性は土と火。先天性の属性のみで戦っている。  カビ1つない茶色の壁から手を退け、土属性の魔法探査の魔法を行使する。  そのために必要な詠唱文を唱え、魔法を展開する。  それと同時にジオの眼の色が茶色に変わる。
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