一章

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 ジオが探知の魔法を発動してから数秒が経過した後、やや楽しげな表情でシークは問いかける。 「どうだ?」 「多分、この遺跡にかけられているのは魔法……のはずだ」  ジオは茶色の瞳で周りを見ながら、かなりあやふやな答え方をする。  その答え方に疑問を覚えたシークはすぐに聞く。 「何で、そんな曖昧な言い方なんだ?」 「いや、魔法なんだ。けど、構成が複雑すぎる……。現代の魔法とはかなり違う」  もう一度辺りを見回した後、魔法を解いて瞼を閉じ、目を休ませる。 「これが能力なら構成が複雑でもおかしくはない。けど、これは確実に魔法だ。信じがたいがな」  さらに、自らの考えを口にする。 「そして、これがある限り、次の部屋には行けないだろう」 「……どうすれば解くことが出来る?」  考えを聞き、軽く思案した後、目を瞑ったままのジオを見る。  ジオもシークが考えている間に自分なりの策を練っていた。 「わからない。だから、オレの能力を使ってみる」 「ジオの能力……侵入か」  ジオは首を縦に振り肯定し、左手の人差し指に填めている指輪を顔の前まで動かす。  この指輪は能力を制御、強化のためにも使われている。形状は人それぞれだが、一般的には装飾品の形で用いられる。  自らの力の一端が込められた指輪を見つめ、その能力を具現化するようにイメージし能力を使用。  だが…… 「っ、弾かれた……?」  侵入を使用した瞬間、通路に掛けられた魔法が能力を無効化してしまった。  その一連の流れを見ていたシークも何も言えなくなる。
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