一章

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 2人の間に沈黙が流れる。  その為、普通に会話をしていれば聞こえない、ある音に気が付いた。 ――――カツカツカツ 「……足音?」 「こんな所に……どんな奴だ?」  初めにシークがその音に気付き、後ろを振り返る。楽しげな表情からうって変わって、緊張が漏れだしている。  続いて、シークが振り返ったことで気付いたジオが振り返る。  そして、右に提げた剣に手を乗せ、いつでも抜ける体勢になる。 「おや?誰かいるみたいだねぇ」 「片方は成人のようだな」 「ね、年齢はぼ、僕と同じくらいですかね?」  現れたのはシークたちの後に遺跡に入った、3人組だった。  そして、ジオは3人の顔に見覚えがあった。 「シーク、何があっても対応出来るようにしておけ」  3人組に聞こえないように、静かに小さく話し掛ける。 「? 何でだよ」  それに対して、シークは小さく聞き返しながらも剣に手を置き、抜剣の構えを取る。  ジオはそれを確認すると、シークの問いに答えず3人組に問いかける。 「第一級賞金首、赤髪の炎騎 ニズ=ミルナ、第二級賞金首、漆黒の鬼神 サーツ=ファイス、第二級賞金首、竜童の歌子 ピート=ニーチェル……で、合っているか?」  聞いてみてはいるが、既に確信しているため気を抜くようなことはしない。  シークはジオの言葉を聞き、警戒を強める。しかし、まだ子供であることに変わりはなく、不安のせいで身体が強張ってしまっている。 「こんな子供に知られてるなんて、アタシらも有名になったモンだねぇ」  彼女が発したその回答は直接的な答えではない。  けれども、それは遠回しの肯定。
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