8人が本棚に入れています
本棚に追加
「幽霊じゃない、人間だ…安心しとけ」
「人間…どういう事だ」
「辻斬り…と言えば分かりやすいかな…」
そう言って白山は再び目を閉じた。
辻斬り…なるほど、通り魔退治か。
自治体か何かに頼まれたのだろう、黒田は納得すると白山と同じく腕を組んで辻斬りを待つ事とした。
そして白山と黒田が総合運動場に訪れてから、既にかなりの時間が経過していた。
「ハズレなんじゃねーのか、白山さん」
「いや、いる…結構前からこっちの様子を窺ってるよ」
黒田は白山の言葉に反応する様に周囲を見回した。
「何処かに隠れている…てことか」
黒田はチラリと白山を見た、白山は無言で頷く。
―――ジャリ…
黒田は足音のした方向へ構えをとった。
「どいてろ黒田、お前は見学だ」
閉じていた目を開き、組んでいた腕を解いて黒田の前に出る。
「お前が辻斬りか」
その人影は大柄な黒田や白山よりも大きく、そしてガッチリとした体格だった。
目深に被った帽子の向こうから、鋭い視線と共に殺気が込められている。
最初のコメントを投稿しよう!