第1章 踏み込んだ世界篇

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反射的に殴っていた。   サラリーマン風の男が倒れる。   周りから聞こえる悲鳴。   気が付くと黒田はサラリーマン風の男に馬乗りになる形で殴っていた。   必死に助けてと懇願する、弱々しい声を無視して殴り続けた。   殺す。   とどめをさす。   そう思って振り上げた腕を捕まれた。   邪魔者に視線を向けた瞬間、黒田は自分が殴り飛ばされている事に気付いた。   街灯にぶつかって血を吐く。   黒田の視線の先に、奇妙な色の道着を着た、赤い鉢巻きの男が立っていた。   「喧嘩がしたいなら俺が買ってやるよ…」   その男は首を傾けて『ついて来い』と言うジェスチャーをすると、黒田に背を向けて歩き出した。   その余裕が黒田の中の黒いモノに、更なる刺激を与えた。   男が立ち止まったのは小さな公園だった。   「よし、やるか。」   頭を掻きながら男は黒田に笑いかけた。   「おっと、その前に…さっきは殴って悪かったな、不意打ちしちまったから謝るよ」   思い出した様に男は頭を下げた。   「勝負の前に自己紹介だ、俺は白山魅導…お前は?」image=93995597.jpg
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