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この男の妙なスポーツマンシップに付き合う気は無い。
黒田は白山の言葉を無視して殴りかかった。
白山がいとも簡単にその拳を受け止める。
「せっかちだな、真剣勝負の礼儀だろ、自己紹介は…」
「何…?」
黒田は白山の言葉に初めて反応した。
真剣勝負?
「ただの喧嘩だ…」
空いていた手で白山の腕を弾いて拳を解放する。
この男は何を言っている?
「そうなのか?だってお前…さっきあのサラリーマン殺すつもりだっただろ?」
白山の発言に対して黒田は顔を上げた。
「生き死にの喧嘩は真剣勝負…だろ?」
黒田は無意識に震えていた。
怖い。
否。
面白い。
そういうのも悪くない。
武者震いだった。
「…黒田、黒田達人だ」
夜空が綺麗だった。
黒田は白山が去った後、倒れたままで空を見続けていた。
白山は強かった。
信じられない程に。
何も出来ずに倒された。
死ぬと思った。
しかし、黒田にとどめは刺され無かった。
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