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何度目になるだろう白山との戦いに、またしても完敗した黒田は、また倒れたままで空を見ていた。
「なぁ…白山さん、俺を…弟子にしてくれないか…?」
白山はベンチに腰掛けて、倒れたまま空を眺める黒田を見た。
「弟子はとってない、というか取れる程じゃないんでな…」
白山の言葉に驚いた様に体を起こす。
「マジかよ…」
「俺自身がまだ今の俺に納得していないからな…納得するまで弟子は取らねぇと決めているんだよ」
黒田は白山の強さを身に染みる程分かっている。
少なくともこの街では一番白山の強さを知っていると自負出来るとさえ思う。
黒田が必死に覚え、磨いた技を完璧に捌き、完膚なきまでに叩きのめす白山をして『自身に納得していない』と言う。
残念に思いながらも、何となく白山はそう言うんじゃないか、と予想はしていた。
「そうか…正直に言うと残念だけど、アンタがそう言うなら仕方あんめー…」
「すまねぇな、ただ…」
白山が一度言葉を切る。
「ただ?」
「お前が俺と戦って、見て、喰らって…技を覚えるんなら勝手にするといい…」
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