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聞き返した黒田に対して、白山が返した返答に、黒田は笑う。
「はは…見て覚えてぇんだけど…アンタの攻撃は速すぎて見えねんだよな」
正直な感想だった。
実際、黒田は白山が一体どんな技を繰り出しているのか見た事がない。
あっという間に決着するからという訳では無い、事実、白山の攻撃は言葉通り見えない程速かった。
黒田と白山の戦いは大抵一撃で終わる。
黒田の連続攻撃を綺麗に捌いて、強烈な一撃で決着。
今回に至っては、白山はベンチに座ったままの状態で黒田を倒している。
「技を覚えるのはいい、だがお前はまだ技を扱う体が出来てねぇ…それに、何でも目で追いかけるから見えねぇんだよ…」
白山はベンチに置いてあるコンビニの袋からオニギリを取り出してかぶりつきながら言葉を続けた。
「空気の流れや相手の気配、もっと言うなら相手の気を読んでかわすんだ」
精神論の様な解説だが、黒田には思い当たる所があった。
今までの戦いで、黒田は白山を倒す、という『気』を確かに放っていた…と思える。
白山の言葉通りなら事前にやるぞ!と知らせている様なものだった。
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