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「「《声優》?」」
「そう。お前らの声だったら出来るんじゃねぇ?」
高校の教室の一角、
二つの机を挟んで4人の男女が座っていた。
「はっ、俺なら出来るかも知れんけど、有希には無理だろ。」
「は!?良介に出来るなら私にだってできるわボケ!」
バチバチと二人の間に、火花が散っている。俗に言う犬猿の仲、という奴だ。
「犬猿の仲なのに、異様に縁があるよなぁー。」
「家は真向かい、両親同士が仲が良いのに2人はバチバチの喧嘩仲間。だけど幼稚園から高校まで学校、クラス共にずっと同じなんだよね。」
「絵に描いたような幼なじみだよな。」
良介と有希の向かいに座っている2人は、桐生と悠香。
この2人は、良介と有希の古い友人だ。
…そしてヲタ仲間だ。
「ゆーゆーはさ、アニメ好きでしょ?」
「う、うん。」
「りょーりょーも。好きでしょ?」
悠香のゆったりとした喋り方のせいで、気が抜けてしまい、喧嘩が中断する。
「じゃあさ、一回オーディション行ってみなよ!私、ゆーゆーとりょーりょーの声、好きだもん!絶対受かるよ!」
ね?、と胸の前で両手を合わせる悠香。
「此処は悠香に免じて行ってみたらどうだ?ちょーど、パンフもあるし。」
ずらっと机の上に、並べられた声優育成学校のパンフ。
「「桐生、用意周到だな/だね…。」」
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